第3章:救急・集中治療・循環器

1. 心肺蘇生(CPR・ACLS)

  • 質の高い胸骨圧迫の指標 【数値暗記】:
  • 深さ: 約5 cm(5 cm以上6 cm以下)。6 cm超は胸郭・内臓損傷リスク。
  • 速さ: 100〜120回/分。120回/分超はリコイル不足で拍出量低下。
  • 中断時間: 10秒以内。AEDパッド装着中も解析直前まで圧迫継続。
  • 質のリアルタイム指標: 呼気終末二酸化炭素分圧(EtCO_2)(35〜40 mmHgへの急上昇はROSCの兆候)。動脈血ガスPaO_2は質的指標に含まれない。
  • CPA遭遇時の初動:
  • 年齢のみを理由に蘇生拒否しない。除細動器到着時は直ちに「モニター装着と心電図リズム解析」を行い、ショック適応(VF/pVT)なら即座に除細動。
  • PEA/Asystoleでは胸骨圧迫継続 + アドレナリン1 mg投与(アミオダロンは使用しない)。
  • 偶発性低体温症の病態と分類 【要注意】:
  • 軽症(32〜35℃):シバリング陽性。
  • 中等症(28〜32℃):シバリング消失(30〜32℃未満)、徐脈、J波(Osborn波)出現。
  • 重症(28℃未満):昏睡、心室細動(VF)・心静止のリスクが極めて高い(30℃以下からVFリスク急増)。
  • アフター・ドロップ(Afterdrop)の正確な定義: 復温開始後に冷たい末梢血が中枢へ還流し、深部体温(中枢温)がさらに低下する現象。

2. ショック・急性冠症候群・不整脈

  • ショックの4大分類の鑑別:
  • 閉塞性: 肺血栓塞栓症(PE)、心タンポナーデ、緊張性気胸(右心負荷・頸静脈怒張・奇脈)。
  • 血液分布異常性: 敗血症、アナフィラキシー(血管拡張・初期warm shock)。
  • 心原性: 急性心筋梗塞、重症心不全(心拍出低下・肺うっ血)。
  • 循環血液量減少性: 出血、脱水(CVP低下・頻脈)。
  • 急性冠症候群(ACS)の重要ポイント:
  • 早期(1時間)の心筋マーカー: ミオグロビン(1〜4時間)、高感度トロポニンT(CK-MBやASTは遅れて上昇)。
  • 心電図で広範ST低下+aVR ST上昇 \rightarrow 左冠動脈主幹部(LMT)病変または重症3枝病変。
  • 急性下壁梗塞(II, III, aVF ST上昇)に右室梗塞が合併した場合、前負荷低下でショックに陥るため硝酸薬・利尿薬は禁忌。
  • 二次予防: スタチンでLDLが十分下がらない場合、エゼチミブを追加。冠動脈疾患合併2型DMにはSGLT2阻害薬が推奨される。
  • 虚血性心疾患・AMI後のうつ病に対し、三環系抗うつ薬(アミトリプチリン等)は催不整脈性のため禁忌(SSRIが第一選択)。
  • 不整脈と薬物選択の禁忌 【超重要】:
  • WPW症候群+頻脈: ATP急速静注、\beta遮断薬が使用可。ベラパミル(ワソラン)、ジルチアゼム、ジギタリスは副伝導路伝導を促進しVFを誘発するため禁忌。
  • WPW症候群+気管支喘息: 気道攣縮を招くため\beta遮断薬およびATP急速静注も禁忌 \rightarrow Ia群(ジソピラミドやプロカインアミド)を選択。
  • 心房細動(AF)+左房内血栓: 脳塞栓を惹起するため電気的除細動は禁忌。\beta遮断薬等でレートコントロールを先行。
  • Mobitz II型房室ブロック: PQ延長なく突然P波の後にQRS脱落 \rightarrow ペースメーカー植え込みの適応。
  • DOAC(アピキサバン)減量基準: ①80歳以上、②体重60 kg以下、③Cre 1.5 mg/dL以上のうち2つ以上合致。

3. 心不全・弁膜症・心筋症

  • 心不全クリニカルシナリオ(CS)分類:
  • CS1(血圧高値・急性肺水腫) \rightarrow 血管拡張薬(硝酸薬)。
  • CS2(血圧正常・全身性うっ血) \rightarrow ループ利尿薬 + 血管拡張薬。
  • CS3(血圧低下・低灌流) \rightarrow 輸液、強心薬(ドブタミン)、昇圧薬。
  • HFrEFの予後改善薬 vs 対症療法薬 【超重要】:
  • 予後改善薬: \beta遮断薬、ACEI/ARB/ARNI、MRA(スピロノラクトン等)、SGLT2阻害薬。
  • 予後を改善しない薬: ジゴキシン(強心薬)、ループ利尿薬(症状緩和のみ)。
  • 大動脈弁狭窄症(AS):
  • 駆出時間延長によりII音の奇異性分裂を認める。重症例・超高齢者にはTAVIが適応。
  • 肥大型心筋症(HOCM):
  • 流出路狭窄を悪化させる硝酸薬、ジギタリスは禁忌。第一選択は\beta遮断薬。
  • 収縮性心膜炎:
  • 右心カテでdip and plateau波形。根本治療は心膜切除術(線維化期にステロイドは無効)。

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